Japanische Klassiker mit Furigana
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むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
Lesen Sie 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 267.766 Zeichen · 530 Bildschirme
「お逃げ! お粂殿! ……真っ向があぶない!」
スルスルと前方へ走って行く者が、美作であるということと美作の正面にお粂がいて、脇差しをあぶなさそうに青眼に付けて、立っているのとを突嗟に感じて、紋也がお粂へ注意をしたのであった。が、そう呼びかけた自分の言葉が、わずかにいい終えた直後において、紋也は頭上に刀気を感じ、自分の正面に一つの眼が、獣の眼のように燃えながら、迫っているのを眼に入れた。太刀音! 砂塵! からみ合った人影! ……しかし……別れて……二間をへだてた! ……山形をなした相青眼の、二本の刀が宙に浮かんで、砂塵の壁を刻んでいる。
「依然として凄いの! 凄い技倆だ!」兵馬の刀の切っ先を、二間のかなたに据えながら、兵馬の一眼を頭巾の奥の、繃帯の間にみつめながら、自分も青眼に構えをつけて紋也は思わざるを得なかった。
「さあこれからどうしたものだ、兵馬は敵の一人ではあるが、退治るにも及ばない小敵だ。このような人間を退治たところで、自分が久しく企てている、一大事を仕とげる足しにもならず、かえって障害になるくらいだ。……さわりたくないのだ、さわりたくないのだ」