Japanische Klassiker mit Furigana
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むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
Lesen Sie 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 267.766 Zeichen · 530 Bildschirme
――で鴫丸はお辞儀をした。
「ナーニお礼には及びませんよ」金兵衛はテレて苦笑いをしたが、「思い出してくれて有難い。で、何かね」といって来たが、金兵衛には思われてならなかった。「あの時にもお粂の姐ごに逢おうと、急いで走って来たのであったが、この鴫丸という男に逢うと、妙に心持ちがノンビリとして、急がしい用事など忘れてしまって、無駄話をしたりからかったりしたが、今夜の俺というものは、あの時の俺よりも倍も二倍も、急がしくもあれば大事な身の上で、道の真ん中へ突っ立って、無駄話などをしていることは、許されていないにもかかわらず、こうやってこの男と話していると、やはり心持ちがノンビリとして来る。それにさいつも急がしい時に限って、この男とぶつかるのも変な因縁だ。どうやら俺とこの男とは、縁のつながりがあるらしいぞ」――金兵衛は苦笑いをつづけたままで、鴫丸へノンビリと話しかけた。
「あの時もたしかお前さんには、お妻太夫さんを血眼になって、探しておいでなすったようだが、今夜も探していらっしゃいますので?」
「へい」と鴫丸はうなずいて見せた。
「探しているのでございます」
「すると、お前さんはあの時以来、ずっと京から江戸へかけて、お妻太夫さんを探していられるので」