Japanische Klassiker mit Furigana
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むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
Lesen Sie 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 267.766 Zeichen · 530 Bildschirme
引き扉には朱総が飾られてあって、駕籠の動揺に従って、焔のようにユラユラと揺れる。駕籠を取り巻いている男女の姿も、かなり異様なものであった。駕籠の前に立って二人の武士が、足音を盗んで歩いていたが、かぶっているところの覆面頭巾も、着ているところの無地の衣裳も、一様に濃厚な緑色であった。駕籠の後からつき従って来る、二人の武士の服装も、すなわち覆面も無地の衣裳も、同じように濃厚な緑色であった。
が、まだこれらはよいとしても、駕籠の左右を取り巻いている四人の女たちが揃いも揃って、同じように濃厚な緑色の被衣を深々とかぶっている姿は、どうにも異様といわなければならない。以上を簡単に形容すれば、濃緑の立ち木に取り巻かれて、黒塗りの朱総金銀蒔絵の駕籠が、ゆらめき出たということができよう。歩き方がいかにもしとやかで、誰も彼も物をいおうとはせず、咳一つ立てようともしない。しとやかに進んで来るのである。いやいや異様なのはこればかりではなかった。四人の武士が揃いも揃って、若くてそうして美貌だのに、四人の女が揃いも揃って、老年でそうして醜いのも、異様なことといわなければなるまい。