Japanische Klassiker mit Furigana
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Lesen Sie 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) von 小出 楢重 (こいでならしげ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.351 Zeichen · 657 Bildschirme
た、そして彼女の草鞋の横顔を、かすかに照しているのでした。
私は少し心細くなったので、もう写生などやめにして逃げて帰ろうかとも思いながらランプの火を眺めていました、すると草鞋の裏が私の前へやって来ました、婆さんは自身の身の上について何か沢山饒舌った末、あんたはほんまにきゃしゃなたちやな、あんまり勉強すると肩が凝るやろといいました、私は全く肩を凝らす性分なのですから、はあ、と答えると、わしがちょっと揉んでやろというのです、ランプの影からもう細い手が二本出ています。大体この家には私とこの草鞋の裏と二人きりしかいないのですから、助けてくれと叫んでも誰一人出てくれるものはありません、どうも都合が悪いと思いましたが逃げる訳にも行かず、私は丹田に力を込めて目をつぶって揉んでもらいましたが、彼女の毒気が肩先きから沁み渡るのを覚えました。
それから婆さんは、毎夜私の部屋へ遊びに来まして毒気を発散しながら親切にしてくれるのであります。この親切は老年の一人身から僕を小供と思ってしてくれる親切だと解釈する事に私は大につとめたのであります。
ところが、如何にも、その頭のくろんぼを見ると我まんがならないのです、私はまた、毎朝婆さんのお化粧が気にかかるのでした、彼女は実に長い時間鏡に向って、娘のする姿態で以てお湯を使うのであります