Japanische Klassiker mit Furigana
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Lesen Sie 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) von 小出 楢重 (こいでならしげ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.351 Zeichen · 657 Bildschirme
思う仕事が思うように行かない時など酒を飲むとか、やけ糞に煙草を一箱のみつくすとか出来る人は幸福だ。酒も煙草ものめない私は時に重たい椅子を床へ投げつけてみることがある。思ったより力があるんだなと友人はそれを聞いて感心した。
煙草はまったくいいものだ、ちょっと一服することによって世界がはなはだ新鮮になる。他人と話をしている時煙草は両人の顔と顔の間へよろしき煙幕を張る、それを通して相手の顔を眺めていることは、大変のびやかで話もらくに出来るようだ。私が医者から無理にやめさされた時、一番辛かったことは、話相手の顔があまりはっきりと真正面に見えることだった。それから町を歩くと煙草屋が多過ぎることであった。一町内に必ず一つ位はあの赤い小判形の中のたばこという黒い字が目につくのであった。完全に煙草を忘れるのに一年位はかかった。煙草を忘れてしまうと同時に町からは煙草屋が全部影を消してしまった。看板も目につかなくなった。
煙草をやめてから五、六年になる近頃、妙にまた煙草屋が目につき出し、絵で疲れた時、煙草のことを考え、客に対してちょっと一本下さいと無心をいってみたりすることがある。