Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Lesen Sie 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) von 小出 楢重 (こいでならしげ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.351 Zeichen · 657 Bildschirme
会がある度びに母と共に、私は出かけねばならなかった。
人目につく高い処へ父が現れるだけでもきまりが悪いのに、その父が女の泣く真似をして何んともいえない渋面を作って悩むのだから、子として全く私はやり切れなかった。で、浄るりの会と聞くと憂鬱になった。しかしながら、燭台の焔がほろほろと輝き大勢の人が集り、芸妓らしい人たちが大勢集り、ぼんぼんといってくれるのがうれしいのと、会のあとでは「のせ」といって何か御馳走にありつけるのが先ず私の目的だった。
私の父は胃に癌が出来てからもなお、素人浄るり大会で、忠臣蔵の茶屋場の実演に平右衛門となって登場した。その時の憐れな姿は、むしろ亡霊に近いものだった。私の父は死ぬまで、消極的ではあるが、陽気に遊んでいたかったらしい。
大体、浄るりというものが、何を喋っているのか、少しも諒解出来なかったけれども、ただその音律の物悲しいものである事だけが私の心へ流れ込んで来た。
それで今でも、あの太い三味線がでんとなって、太夫がうーと一言うなると直ぐに浄るりを聞くだけの心がまえが忽ちにして私の心に備わるのである。
たった一つ、清潔な教育は施された。