Japanische Klassiker mit Furigana
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Lesen Sie 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) von 小出 楢重 (こいでならしげ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.351 Zeichen · 657 Bildschirme
まずこれだけは暫時、ぽつぽつと進化せねばなりません。といって自分の足が伸びるまで、火事と地震の中でじっと待っていることは出来ません。ここに近代日本の美人は悲劇を持たねばなりません。
短いくの字の足を、捨鉢となって勇敢に露出することに決心した彼女達は勇ましく、レヴューのために足を並べました。私は心斎橋を散歩しながら、あるいは銀座の歩道で、あるいは電車やバスの中で洋装におけるそれらの足に敬意を払います。
時代の混雑せる風景はいかにも嫌だという人達は、この現世の有様を厭うて心を徳川時代におき据え、今なお世の片隅に残っている古物をあさり、古物の女を眺め、その古物の中に自分の心を求めて住むことを楽しんでいます。まったくそれらはすでに出来上がった芸術であり女でありますから、何かと心を乱す雑音がありません。眺めやすく住み心地もよろしいわけであります。私も芸妓、歌舞伎、落語、三味線、柳腰、の世界へ閉じ籠っていたいと思いますが、それでは何か、も一つ、私の心に大きな風穴が開いてしまって、その穴から何ともいい知れないところの幽霊の浜風が吹き込んでまいります。そこで私は我慢してあの短いくの字の足が伸び上がるのを楽しんで待っているのであります。