Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Lesen Sie 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) von 小出 楢重 (こいでならしげ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.351 Zeichen · 657 Bildschirme
黒光りする用箪笥から幾束かの紙幣を取り出して、一枚一枚丁寧に焼鏝をあてて皺を延ばして行くのであった。そして私にも金をかく愛しなはれと教訓してくれた。当時まだ子供あがりの私も、なるほどこれは費用のかからぬいい道楽だと思った事があったが、さてその教訓の通り家へ帰って延ばして見たくとも、その原料がない事は甚だ遺憾な事であった。一時間の後には人手に渡るべき一枚の五円紙幣に電気アイロンをあてて見る気にはなれない。
しかしその老人は全くの無慾の状態において、専念紙幣に焼鏝をあてていたが、彼はそれによって世を忘れ、時を忘れ、今日は九十何度という事も忘却する事が出来、あらゆる他の慾望を持たなかった。ただ夕刻になると皺の延びたる一枚によって、も一つの三昧境の陶酔を買いに行くのであった。芸術家の至上主義が昂じると生活が乱れやすいが、老人のこの主義は真とに安全だから結構だと思って見たりした。甚だ合理化された避暑法だ。
とにかく、私は夏を愛する。そして冷たい秋風と残暑による重油の汗の季節になると、私の胃腸はよくない変化を起していけない。
太陽の贈物
人間の行事もこと面倒だが、自然が行う行事もなかなか手数のかかる準備をやっている。