Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こざくらひめものがたり

小桜姫物語

浅野 和三郎

Lesen Sie 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) von 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.097 Zeichen · 267 Bildschirme

Aozora Bunko

御承知の方もありましょうが、三崎の西海岸には巌で囲まれた水溜があちこちに沢山ありまして、土地の漁師の小供達はよくそんなところで水泳ぎを致して居ります。真黒く日に焦けた躯を躍り狂わせて水くぐりをしているところはまるで河童のよう、よくあんなにもふざけられたものだと感心される位でございます。江戸から来ている小供はそれが羨しくて耐らなかったものでございましょう、自分では泳げもせぬのに、女中の不在の折に衣服を脱いで、深い水溜の一つに跳び込んだから耐りませぬ。忽ちブクブクと水底に沈んで了いました。しばらく過ぎてからその事が発見されて村中の大騒ぎとなりました。何にしろ附近に医師らしいものは居ない所なので、漁師達が寄ってたかって、水を吐かせたり、焚火で煖めたり、いろいろ手を尽しましたが、相当時刻が経っている為めに何うしても気息を吹き返さないのでした。

いよいよ絶望と決まった時に、私の許へ夢中で駆けつけたのが、例のお附の女中でございました。その娘はまるで半狂乱、頭髪を振り乱して階段の下に伏しまろび、一生懸命泣き乍ら祈願するのでした。――

『小櫻姫様、どうぞ若様の生命を取りとめて下さいませ……。