Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やまをおもう

山を思う

石川 欣一

Lesen Sie 山を思う (やまをおもう) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.814 Zeichen · 157 Bildschirme

Aozora Bunko

詳しい事情を聞こうと思っても、二人は何にしても石川さんを見つけて早く帰れと伝えることばかりに一所懸命で、その理由は、本当にそんな電話があったのか、大町での流言蜚語なのか、更に要領を得ない。とまれ、一刻も早く大町に引き返そうと、しらじら明けを待って大沢小屋を出た。露が深く腰のあたりまで濡れた。これが満洲事変の始まりだったのである。この事変が原因して私は米国へ行き、帰国して一年足らずで英国へ行った。このようなあわたゞしい生活の出発号令は、実に日本アルプスの山小屋へ、夜道をかけてやって来た二人の山案内が、ゲット・セット・ドン! とやったようなものである。

◇

モスクワ、ミンスク、ネゴレロエ――国際列車は愚図々々と執念深く、ポーランドへ近づいて行く。ネゴレロエがソ連の国境駅でポーランドのそれはストロプセである。冬のさなか、赤松の林に雪が凍りつき、国境の警備は極めて厳重であった。やぐらの上から機関銃で列車の屋根を狙う兵隊、レールの横にはいつくばって汽車の底を見守る兵隊、あの兵隊どもはどうしたろう。ソ連兵は恐らく勢よくポーランドに入って行き、ポーランド兵は闇雲に逃げて了ったろう。