Japanische Klassiker mit Furigana
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やまをおもう
山を思う
石川 欣一
Lesen Sie 山を思う (やまをおもう) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.814 Zeichen · 157 Bildschirme
その時発見したのである。もっとも、どこからどう行ったらいゝのか、まるで見当がつかぬ。やむを得ず陸地測量部の地図を四五枚買って来て、シーツの上の蚤をさがすようなあんばい式にキョロキョロ眺めると、なる程S山という山が出ている。ジャガジャガと引っ掻いた傷みたいな符号は岩壁、道路を伝って南に下ると播但線のA駅に出る。これで大体のことは判ったが、次に一晩とまる所を考えねばならぬ。で、駅から山まで五六里の間をさがすと、所々に人家はあるが部落らしいのはたった一つ。こゝには村役場も郵便局もあるから、たぶん木賃宿位あるだろう……よし、第一日はこゝ泊り、第二日朝早く出て山に登り、出来れば即日姫路まで引き上げよう。と、こう話をしながら、ふと見ると、この部落の南に温泉の符号がある。「おや君、こんな処に温泉があるんだぜ。こゝで泊ることにしょう。」といゝはしたものの、その温泉も、符号と、ちょびっとした家の黒マークが一つあるきりで、古い地図ではあるし、すこぶる頼りない。
所で大正十×年六月何日、日の暮れがたに姫路から和田山行きの二等に乗り込んだT君と私、相手がどんな山だか見当がつかぬだけに、仕度もいく分仰々しかった。