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Japanische Klassiker mit Furigana

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にっき

日記

宮本 百合子

Lesen Sie 日記 (にっき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.193 Zeichen · 131 Bildschirme

Aozora Bunko

その風雨にさらされた木造の家を眺め思う。あのどっしりしない、あの樹木のない、びっしりつまった小家に棲息して、どうして人間が、堕落せずに居られよう。草の茂った地面を見ることは、瞬間的に、人間の心からあらゆる嘘や見栄を抜き去るところに、云い難い快感があるのだ。何等永劫なものの生存を吹き込まれず、ひとりでに神経の末稍が潤い敏活になる活溂たる自然の風景の展開を見ず、一方、多すぎる人間同志の我利と、死ねばそれ限りの虚栄に刺戟されて居る生存のみじめさ。

真剣に考えれば、実に生きて居ると云う甲斐がない。真個に生きる為に必要な一種の仲介物、方便たるべきものの為に、却って人間が生命の根源まで使役されて、一生を終る。

◎

さいが、台所で国から親切に送って呉れた乾物を干して居た。

自分は湯殿に居た。

「おや!」

と驚いた声がする。

「どうしたの?」

見ると、乾物を入れて寄来した風呂敷を見て居る。遠慮して黙って首を引込めたら、間もなく

「奥様、私変な心持になっちゃいました。この風呂敷は、私の先行って居た家のでございますもの。この継がそうでございます」

と云う。