Japanische Klassiker mit Furigana
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にっき
日記
宮本 百合子
Lesen Sie 日記 (にっき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.193 Zeichen · 131 Bildschirme
と云う、感傷的文字を書かれてしまった。
日記をつけるたびに、低級な思わせぶりが目に入ってはたまらない。
すっかり、自分の感興はスポイルされた。それ以来、鎌倉に行ったら、鎌倉に行ったら、と、真の日が自分に来るのを待ち切って居た。
今、初めての夜を、静かに、新らしく買った椅子卓子に此を書き始めたのである。
春江ちゃんの机の下にあった『新家庭』か何かに、松岡譲氏の書かれた、贋漱石の書画に関する記事をよみ、漱石氏の画を見、新たな風韻とも云うべきものを感じた。字の下手なのは、少くとも賤しい文字を書く者は、心情の賤しさを表すような気がした。上手下手のことではなく、まるで気魄のない文字を書く人間は、内に凜然たる頼もしい処がないのではあるまいかと、我が筆の跡を顧み、忸怩たるものがあるのだ。
「言葉は神なりき」と云う文句を心に浮べると、出鱈目が並べられない通り、その神の形式と思えば、浅間しくあわてふためいた文字は書かないだろう。
斯う云う小さい一事でも、自分には何か生れ代らなければ、自分の理想には到底、到達されそうもないものが、血に混って流れて居るようで、歯痒ゆいこと夥し。