Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
のであった。亭主がお内儀さんの火を揉み消そうとせず、お内儀さんが亭主の妹の火を消そうともせずまた妹が兄の火を揉み消そうと苛らないで三人とも、それぞれに自分たちの身体についている火さえ消そうと努めたならば、まさかあんな大事にもならなかったであろうが、あんまり夫婦兄弟の情合の深いのもこういう時には善し悪しだというふうなことを、まだ震えの止まらぬらしいこの女中は、幾分腹立たしそうに朴訥な言葉で話してくれた。すんでのところ火事になりかかったのをその方だけは隣りの乾物屋の親父とかが揉み消してしまったということであった。
「まあま、お酌もせんどいて、えろう済まんことしてしまいましたけん。冷えて拙うなりましてん?」
と、女中は気がついて銚子を取り上げたが、別に酒がそんなに飲みたい気もしなかった。
「いいよ、いいよ、自分でするから」
と女中を帰した後で、冷えた盃を持ったままメラメラと燃えしきるストーヴの焔を眺めながら、通り魔のような夜前の出来事を考えていると、
「世の中なんて、何時どんな災難が降って湧くかわからないものねえ、やっぱりあたし、東京へなんか行って出世してもらわなくてもいいわ。