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Japanische Klassiker mit Furigana

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いきふどう

橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇

橘 外男

Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

ます。もはやこの辺は陽の目も射さず、黴くさい臭いとともに歩くたんびに、何百年来の埃が濛々と舞い上ります。天井は低く、頭に掩い被さらんばかり、柱や垂木が乱雑に、もはやここは楼門の、天井裏と思われます。

兄が這うようにして行きますから、私も後に跟いていますが、もしここから覗いたならば、今まで越えて来た峠や道も、一目に俯瞰されるだろうと思われるくらい、随分高いところのような気がします。と、向うの端に小さな急拵えの、明り取り窓らしいものが見えて、その幽かな光を受けて、パッと私の眼に映ったものは!

その埃だらけの板の間に、四枚ばかりの古畳を並べて、その上に厚い夜具に凭れて今じっと、こちらへ顔を向けているものは!

白髪の髪をおどろに振り乱して、片方の眼が腫れ塞がり片方の眼があらぬ方を向いて、眉毛もなければ鼻もなく、のっぺらぼうの顔にポツンと真っ黒な穴があいて、満面膿み爛れて見る蔭もないその老婆は! 重症も重症二目と見られぬ癩病やみの、その老婆は!

「早う来たえ来たえと思うとりましたが、何やかやと手が離せなえで……」

とたちまち兄が、板の間に額ずきました。

「阿母さま、新次郎でござりますぞい……」