Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いきふどう

橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇

橘 外男

Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

降誕節の済んだ東京の市街はやがて迎える新年の装いで、ネオンが夜空に美しく、輝いていました。

乗車時間の迫って来るまで、柱に凭れてネオンを眺めていましたが、一晩、ホテルにでも泊って、しみじみ東京に別れを告げたいなと思いました。が、兄と母との顔が眼先に散らついて、どうしても東京に泊る気には、なれませんでした。九時四十五分の下の関急行に乗って、発車するまでぼんやり窓から眺めていますと、議事堂の裏手から麹町赤坂辺と覚しい高台にも、燈光が夜空に燦いていました。

貴方はどうしていらっしゃるだろうと思うと、せめて一度でも逢いたいなと、無性に貴方にお眼にかかりたくなりました。が、眼を閉じているうちに、汽車は発車しました。それでもまだ、眼をあけることができませんでした。大森、蒲田、川崎と過ぎて、東京の灯光がやや遠のいた時分に、やっと心が落ちついて、眼を開くことができました。

慟哭したいような、気がします。子供のように、だれかの胸に顔を当てて、思う存分に泣いてみたら、さぞ胸が清々するだろうと思います。がいくら泣いてみたからとて、この事実をどうすることができましょう。