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Japanische Klassiker mit Furigana

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いきふどう

橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇

橘 外男

Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

翌る朝この妙な因縁の町を発つ時には、もちろん病院の門口まで私たちは見舞に行った。停車場から二、三町足らずの距離であったが、町の世話役らしい人々が多勢詰めかけて、病院の入り口はごった返していた。そしてそこには私たちの泊った丸源の亭主もいたが、眼敏く私たちの姿を見つけると大急ぎで飛出して来た。

「とんだ御迷惑をお掛けしまして……またどうぞお懲りなく、ぜひお近いうちに」

と、頭を下げた。それにつれてその辺にいた人々も何かは知らず頭を下げた。

「とうとういけませんでした。一人残った妹の方も、つい今し方息を引き取りました」

と亭主は身寄りの者にでも話すかのようにしんみりとそう言った。

わずかばかりではあったが霊前へ供えてくれるように頼んでおいて、逃げるように私たちはまた停車場へ出て来たが、身を切るように寒い朝の町はしいんとしてまだ人っ子一人通ってもいなかった。もちろんまだ札幌へ引揚げようという気持も起らず、さりとてこれからどこへ行こうと決めていたわけでもなかったが、ともかくやっと汽車が動き出して外に相客もない二等車の中でガチガチ震えながら、だんだん遠ざかって行く国境の連山の裾にこの不思議な思い出の町を眺めていると、やっと私にも昨夜からの気持が納まって人心地が徐々についてくるような気持がしたのであった。