Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
瀬戸内海の長島には、癩病者隔離のための愛生園があり、草津、霧島その他にも、隔離のためにいくつかの国立療養所の、設けがある。駐仏大使館二等書記官までも勤めた俊才が、何も早まって親子心中まで遂げなくとも! と、世の識者といわれる人々の批判は喧しいかも知れぬが、伝統と因襲に捉われた平和な山村において、この重病の病人を動かすことは、我と我が手で一挙に、兄の犯罪を暴露してしまうようなものではないか。
さりとて、余命幾許もないこの病母が、もし落命したらばいったん葬式までも済ませた身の、いかに処置したらいいであろうか? 人の死をみだりに第三者が、論議することは差し控えたい。ああも考えこうも考え、あれもできずこれもできず、追い詰められて追い詰められて、生きることももの憂くなった結果ではなかろうか? と、筆者は考えている。
ともあれ、正月も過ぎてその時、村の祭りでも近づいていたのか? 遥かの麓からあまり上手でもない馬鹿囃子の笛が聞えてきた。これだけの悪条件が備わっていれば、あんな笛の音一つ聞いても、死に誘われるのではないかと、心ない山の刑事さえも、涙を催したということをいい添えて、この話を結んで置くことにしよう。