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Japanische Klassiker mit Furigana

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いきふどう

橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇

橘 外男

Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

「何を莫迦なことばかり言ってるんだい? 来てごらん! 何にもいやしないじゃないか! お前さんの気のせいだよ! どこにそんなものがいる! さ、来てごらん!」

と私はまた廊下へ引き返してきて家内の手を執りました。

「だって……あの血だらけな恰好をしてあの蒲団の上に坐っていたんですもん。淋しそうな顔をして……真っ青な顔をして! わたし怖うて、もうどうもならん」

と家内はまだ今のその顔が眼先にちらついてくるのでしょう。さも恐ろしそうに肩を震わせておりました。

「どこにもそんなものはいやしないと言うのに! お鹿、来てごらん! どこにそんなものがいる」

じれったくなって私は力をこめて家内の手を引きました。がその途端でございます。ギョッとしてすんでのことに私は声を立ててそこを逃げ出すところでございました。血の気もない顔をして私に手を引っ張られながら、まだその場を動こうともしないで私を凝視ている家内の顔が、みるみる何ともいえぬ凄まじい形相に変ってきて、その腰から半身以下が真っ紅に染まりながら、私の顔を食い入らんばかりに眺めているのでございます。

私は竦然と総毛立ちながら、思わず眼を閉じて二、三度頭を振りました。