Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
「わたしがみてあげたいのは、赤ちゃんより、お婆さんのほうだね」
と、笑いにまぎらして、それとなくいってみましたが、きこえたのかきこえないのか、老婆はそしらぬ顔をしています。
「どれ、赤ちゃんの胸をはだけてごらん……そう……そうやって、膝に抱いて……」
聴診器をあててみましたが、瘠せおとろえた老婆とちがって、赤ン坊はまるまるとふとって、べつだん異常もみとめられず、どこから熱がでているのかわかりません。
「おかしいな? どれ! ここへ寝せてごらん」
と、博士は壁際のベッドを指さしました。
「ああ、これだな……」
ふとももにポツンと赤くはれあがって、根をはった腫物がひとつ……これが原因だとわかりました。
「熱はこれのためだね。……お母さんのおっぱいを、あまり飲まなかったでしょう?」
しかしあいては、うなずいただけで、べつだんなんとも返事をいたしません。
「たいしたこともないがね、膿をだして、すこしらくにしてあげましょう」
赤ン坊の治療はかんたんにすみました。が、それにしても気になるのは、あまりにも瘠せおとろえたこの老婆のほうです。このやつれかたはただごとではありません。