Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
手さぐりで、枕もとのスタンドへ手をのばそうとしたとたん、やわらかな手が、しっかりと博士の手をおさえました。
「つ、つけないで……あかりをつけてはいけません」
と、まっくらななかで、夫人の声が、博士にすがらんばかりに、おののいているのです。
「ど、どうした? なぜあかりをつけちゃいけないんだ?」
「あなた……さっきから、だれか、家のまわりを歩いているのよ……ほら! きこえるでしょう? あら、だんだんまたこっちのほうへくるわ……あなた、どうしたらいいでしょう?」
「なあに大丈夫だよ、近所の野良犬かもしれんよ!」
が、それは決して、犬の足音ではないのです。
耳をすませると、夫人のいうとおり、たしかに露にぬれた落葉をふんで、ザクリザクリと足音をしのばせて、家のまわりを歩いているではありませんか。しかも、その足音がときどきとだえるのは、雨戸のふしあなから家のなかをのぞきこんでいるけはいです。
そればかりか、ときどき、雨戸に手をかけてみるらしく、ガタガタと風もないのに戸のきしむ音がして、……また、ザクリザクリとあつい落葉をふんで、歩きだしているようすが、ありありとうかがわれます。