Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
「泥棒なら、人間でやんしょう? ところがけったいなことに、人間の足跡なんてえものはちっともねえでやす。あるものはだんなさまのばかりでやんすがな……」
「だって、俺がこの目で見たんだからね、まちがいはないよ」
「だんなさま、そりゃなにか、だんなさまのかんちげえじゃ、ねえでやんしょうかな? 大きな獣の足跡が、……クマみてえな足跡ばかりがあるでやんす」
吉蔵にいわれて博士は、裏庭へまわってみました。
ふだんだれも足をふみこまず、おまけに陽の目を見ぬ家のかげなので、土もやわらに青苔がはえて、裏庭から雑木林のほとりまで、吉蔵がいうとおり、博士のはだしの足跡にいりみだれて、大きな獣の足跡が、クッキリとのこされているのです。
「ふうむ……」
と、さすがに博士も、うならずにはいられませんでした。
この足跡は、老婆の肩に一撃をくわせてあとを追いかけ、この雑木林の中で見うしなったときのものにちがいなく、そうすると、あの老婆は獣の足跡をのこしていったことになります。
「ようし、吉蔵、俺にはすこし考えがあるから、このことだけは、だれにも話すなよ。人にけっしてしゃべるんじゃないぞ!」