Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
南国西九州の午後の四時は、まだまだ陽ざかりもおなじこと、あけはなした縁側の藤棚には、夕陽がカッカと照りつけて、草も木もグッタリと土いきれのなかにあえいでいます。
じっとすわっていてもタラタラと膏汗のにじみだしてくるような暑さのなかで、待っている人はなかなかくるけはいもなく、左近将監のおもてには、ようやくいらだたしい色が濃くうかびあがってきました。
がっしりとしたたくましい骨組や、頬髯いかめしい陽にやけた顔……だいたいこの左近将監というかたは、べつだん腹黒い人というのではありませんが、非常に気のみじかい、わがままいちずな癇癖のつよいかたでいられました。
そしてこのまちがいも、もとはといえば、やはりその癇癖のつよい、気のみじかいところから起ったことなのでしょうが、御城代のごきげんが悪いときくと、城中のさむらいたちでも、この邸につかえている召使たちでも、声をひそめてちぢみあがるといわれるくらい、名代のかんしゃくもちでとどろきわたっているかたでした。
そしていまも、その待ってる人がなかなかあらわれないとみえて、左近将監の癇はだいぶピリピリと、たかまってきている模様です。