Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
「当節の若いものは……約束の刻限をたがえることを、なんとも思うとらん……不埓な! ふらちな!」
と襟首のあたりの汗をいらだたしげにふいているのは、いま立ちさった若党のことを怒っているのではありますまい。おそらくすがたをまだ見せぬ、その竜胆寺の小金吾とやらいう碁のあいてのことをでもブツブツいっていたのかもしれません。
「コレ藤……藤……藤はおらぬか? 八重……八重……たれぞ、麦茶でももてまいれというに! ええ! どいつもこいつも気のきかぬやつばかりそろいおる!」
と、ふたたび大声をはりあげて、せっかくならべた碁盤の石を、腹だたしげにジャラジャラとくずしてしまいました。
こうして城代の左近将監が、かんしゃくをおこしてじれきっているころには、西陽のかんかんてりつけて、白くすなほこりをまいあがらせている邸のまえの坂道をかけおりて、若党の佐平治はたきなす汗をぬぐいながら、竹籔脇のたんぼ道を、村境のほうへとはしっておりました。
石橋をわたりおえて、これと従者の若党と、したしげに何か話しながら、いましずかに歩をはこんでくる、美々しい小姓姿の少年がありました。
「お、竜胆寺さまだ! 竜胆寺さまの若さまがおみえになった!」