Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
さいわいに、この道でお目にかかりましたから助かりましたものの、もしほかの道からでもおいでになりましょうものなら、てまえこれから若さまのお邸まで、一里の道をおむかえにまいらなければならぬところでござりました。
いや、もう、助かりましたと申しあげてよろしいやら、ありがたいと手をあわせて、よろしいやら……なんともおかげさまで助かりましてございます」
「ハハハハハご家老のかんしゃくは音にきこえたもの……約束の刻限にだいぶおくれてさぞかしおいらだちのこととは察していたが……」
と、この若さまとよばれるお小姓は、女のようにやさしい笑みをもらされました。にいっと愛らしいえくぼがうかんで、紅いくちびるからまっしろな糸切り歯がちらとのぞいています。
「そちどもの迷惑も察せぬではないが、こまったことに、母が三、四日来の病気でのう。病はさしたることもないが、なにせ親ひとり子ひとり……ことに、目の見えぬ母をかかえていることとて、よろずに心細がってわしばかりをたよりにあそばさるる。許してくれい、佐平治とやら! なかなかぬけだしてくることが、できんかったのじゃ」
「それはそれは、ぞんじませんで、ついてまえのことばかり申しあげまして……ま、あのようなお気質の主人でございますれば、しょうちしてはおりましても……そこはつい、その……おいでがござい