Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
老母はなにか物思いにしずんでいるのでしょうか? うるさいとみえて、顔もあげません。その老母をうながすようにめずらしく玉は、ニャーオ、ニャーオと、あまえたように二声三声なきたてました。それでも老母は顔をあげません。ニャーオとこんどは玉はいくらか大きな声をあげました。
「うるさいね、むこうへおいき! おまえになんぞかまっていられないのだよ……」
と、邪険な声をだして、老母はふと、顔をあげました。が、そのとたん、何か玉のそぶりで盲目のするどい勘を打ったものがあるのでしょう。おや! といわぬばかりにふしぎそうな面持で、瘠せた腕をさしのばしました。チョコナンと前肢をそろえて枕もとにすわりこんでいる玉は、どこからくわえてきたのか、小切れをふたつ……これを早く見てください! といわぬばっかりに、しきりに前肢で老母の手のとどくところへ、おしやっているのです。
「…………」
けげんそうに、そのふたつの小切れを手にとりあげて掻いなでていましたが、瞬間、おうっ! とばかりに、なんともいえぬ叫びをあげて、老母は夢中でふとんをけっておどりあがりました。
「早月、早月! 早月はおりませぬかえ? いなければだれでもよい、ちょっときておくれ!」