Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
ありません。ちがっているのは、その袖についている紋のあたりがやぶれて、たしかに玉に食いちぎられたことをしめしているのです。
「おう、おう! 小金吾、かたきを討ってほしいのか? かたきをとってほしいのか?」
見るより、老母は身をのりだしました。
「おう、おう、母も察しています。さぞ無念だろう、うらめしいでしょう。行くところへも行けぬでしょう」
と、老母は身もだえました。
「せめて、母の目なりとあいていたら、どんなにでもして左近将監にうらみの一太刀はむくいてやれるのだが、なにをするにもこのからだ。小金吾ゆるしておくれ! ふがいない母とゆるしておくれ!」
老母は血の涙をこぼしました。
「しかし、もう、これで母にも決心がつきました。めしいても武士の妻……あすは将監の邸へいって、かなわぬまでも恨みの一太刀は晴らしてくるつもりです。母がみごとにおまえの無念を晴らせるかどうか、草葉のかげから、ようすを見ていておくれ」
と、生ける人にものいうごとく、老母は小金吾の亡霊に語りました。そして、そのことばが耳へはいったのか、小金吾はガックリとうなだれて、そのままかきけすようにすがたは消え去ってしまったのです。