Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
とうとう左近将監も太刀を抜きはなちました。
「これだけいうても理不尽に、拙者に斬りかかるとならば、えんりょはいたさぬ。斬るぞ! 本意ではなけれども、拙者も斬るぞ!」
とたん! 手もとにくりこんできた女を、将監は目にもとまらず斜上にすくいあげました。女のからだはまっぷたつと思いきや! 飛燕のごとくに飛びあがったそのすばやさ! つぎの瞬間には将監の頭上で身をおどらし、うしろ横手で、もう懐剣をかまえております。
と、そのとき、ハハァと将監にも思いあたるところがあったのです。
さっきは気がつきませんでしたが、どんなに飛鳥のごときはたらきをしても、このふたりは足音がないのです。こないだの桜の馬場の曲者と、なんのかわりもありません。
「――ハハァ、親のかたきなどとはまっかなうそで、このごろ俺が用心してるものだから、なれあい喧嘩で俺を表へひっぱりだしたな」
と、はじめてこのふしぎなふたりの挙動が、腑におちたのです。
とたんにもって生れたかんしゃくが全身に発して、もはや猶予はなりません。とびこんできた柳という若侍とわたりあうこと二、三合! さすがは無念流の達人、横にはらった大剣、みごとにきまって、あいてはギャッと一声、血けむりたててそこにブッたおれました。