Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
もはや邸のなかじゅう、われかえらんばかりのさわぎです。
そしてだれか、左近将監のところへも注進したものがあったとみえて、ズシンズシンと足音たかく、帰邸そうそうまだ紋服もぬぎかえぬ左近将監が、刀を藤にもたせてあらわれました。
「なんじゃ、見ぐるしいそのさわぎは! 大の男が四人も五人もかかりおって、たかが女ひとりくらいにそのざまは!」
と、にがりきって突っ立っているのです。
「わしの食事に毒をいれたやつはその女か? よし、わしがじぶんでとりしらべる。権六! 女の顔をこちらへむけえ!」
やっとのことで、どうやら組みふせた女のえり髪をつかんで、顔を左近将監のほうへむけさせることができました。
「藤、手燭をもっとつきつけてみい! フウム……ちかごろやといいれた飯たきじゃな! 女! 何が故にわしの食事へ毒を盛ろうとした? だれにたのまれてそちは毒を盛ろうとしたのじゃ?」
じいっと首をさしのべた左近将監の目と、組みふせられながら下からにらんでいる女の目と……火花をちらしてじーっとふれあったとみたとたん、たちまちムーンと女の五体に力がみちみちて、なんという恐ろしい力がでてきたのでしょう。