Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
かんしゃくもちの左近将監でも、さすがに親のことですから三日に一度、五日に一度、
「お母上いかがでござるな? おかわりあらせられませぬかな?」
と庭の木戸口のところから声をかけていくのですが、まえにもいったとおり、殿さまは江戸表にご在府中で、おるすをあずかる城代家老の身はなかなかいそがしく、ここのところ十日ばかりというもの、つい顔だしもおこたっていましたが、その奇怪な事件というのは、このあいだにわきおこってきたのです。
というのは、つい二、三日まえ、この隠居所ではたらいているお里という老母づきの女中が、ごくないないで、だんなさまにお目どおりしてお話申しあげたいことがある、といってまいっておりますが、と、若党の佐平治がしきいぎわに平伏してきたのです。
「里がわしに話があると?」
書見中の左近将監はピクピクと毛虫のようなまゆをうごかしました。
「母上の召使ふぜいが何もわしに用のあるわけはない。話があったら母上が直接の主人じゃ。母上に話したらよかろう。そういってたたきかえしてしまえ!」
と例によってケンもホロロの返事です。
「かしこまりました。では当人によくそう申しつたえておきますでござりましょう」