Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
はじめはおとなしくおとずれて、病気見舞にことよせて斬ってしまうつもりでいた計画も、たちまちどこかへすっとんでしまって、まなじりをつるしあげてキリキリと歯をかみならしました。
「だんなさま、もっともっとお骨をひろってまいりましょうか?」
と佐平治の問いにたいしても、
「ええもういいわい! 証拠さえつかめばもうよろしいわい! 母上の菩提をとむらうのは曲者を刺してからのことじゃ。佐平治! そちはその灯籠のかげにかくれて見はっておれ! よいか、とびだすものがあったら、だれかれの容赦なくブッタ斬ってしまえ!」
いいつける間ももどかしく、奥庭をよこぎって、もう、その手は玄関のひき戸にかかっております。ここはさっき小間使のお幾がでていったところとみえ、そのままスルスルとわけもなく戸があきました。音をひそめるにも何も、あったものではありません。
いかりくるった将監は廊下をふみならす音もあらあらしく、刀をぬきはなってドタドタとたちまち奥の間の襖をけやぶって、曲者の寝所へ乱入しましたが、なんと老母にばけた曲者がおどりかかってくるかと思いのほか、そこにはあんどんの灯心だけがわびしげにまたたいて、あたたかそうな夜具はフックラとのべられてありますが、もはやもぬけの殻となっておりました。