Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
「人を斬れば血がでるのはあたりまえじゃ! 血ぐらいにおどろくなら、人間をやめたらいいじゃろう!」
と、なにを仰山にさわぎたてるかこのバカものめ! といわんばっかりに、ブッチョウ面をしてにがにがしげにいいはなちましたが、そのとたん、またもや、
「ワァーッ!」
と佐平治はふるえごえをはりあげました。なにか道からひろいあげたようすです。
「だ……だんなさま! た、たいへんでございます! こ、これは若さまのご印籠でございましょう」
「な、なに新之丞の印籠とな? どれ、どれ、みせい!」
さすがに左近将監の声もはずみました。が、その瞬間、
「お、たしかに新之丞の印籠じゃ! 佐平治! もそっと灯をみせい! お、血がついとるな」
「だんなさま、だんなさま!」
と、こんどは権六が大声をあげました。
「こ、ここにお刀がおちております。これは若様のお脇差ではござりませぬか?」
「お、これも新之丞の脇差じゃ! あ、これはいかん! 血がついとる」
とたんにさっと、左近将監の顔色がかわったようすです。
「佐平治、仲八……つづけ!」
とばかりに、さすがの将監の語尾もふるえをおびて、その瞬間将監は両刀をわしづかみに、わが家をさして宙をとぶようにかけだしていました。