Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
が、それはけっして癇癪の顔ではありません。癇癪とはまったくかわっておちつきがなく、あたりをキョロキョロと見まわしているその顔は……。
あっ! もはやまったく、いままでの左近将監の顔ではありません。
ごらんなさい、ごらんなさい! 左近将監はとうとう気がくるってしまったのです。
母親を怪猫に殺されて、にえたぎっている心のなかで、たよりにしきっている最愛の嗣子息子の新之丞も、いままたこの無残な殺されかたをして……しかも怪猫はあいかわらずかげもかたちもなく、どこかでこの左近将監のすがたをせせらわらっているのでしょう。
刀を杖にぼうぜんとしてうなだれている間に、ついにこの鬼のような城代家老は、心がまったくみだれきってしまったのです。
そしてさっき血相かえておどりこんできたすがたとはまったく反対に、刀をダラシなくひきずったまま、ノソリノソリと血みどろの屋敷のなかを、玄関のほうへとひきかえしてゆきました。
目だけはたえずキョロキョロとおちつきがなく、しかもたえず物おじしたように、どこかからだの中心をうしなってヒョロヒョロと……。
納戸のまえにはお里が板戸にもたれてたおれています。