Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
と、これもうしろから一太刀……気はちがっても腕はたしかなのですから、たまりません。
「ウワーッ」
と血けむりたてて、これもおりかさなってたおれてしまいました。
「だんなさま、なんで仲八や権六を、お斬りになりました? 権六や仲八に、なんのおちどがございます?」
さすがに色をなして若党の佐平治がつめよってきましたが、それにはこたえがなくて、
「ええい」
と闇をつんざいてピカリと一閃、刀はこんどは佐平治めがけて斬りおろしてきました。
「ヒヤーッ!」とわずかに身をかわしましたが、あぶなくてあぶなくてちかよれたものではありません。まっくらな闇のなかに刀ばかりがピカリピカリとして、将監の顔まではもはや、手燭もあんどんの光もとどきません。
「だんなさま待ってくださいまし。だ、だんなさまは、てまえまでもお斬りなされますか」
それにもことばはなく、ただ刀をかまえたまま、ジリジリと左近将監の黒いかげがせまってきます。
「おのれ、くせもの! この期におよんで、まだ逃げる気か?」
「え、なにくせもの」
ハハァ! とこれで佐平治にも、権六や仲八がころされて、いままたじぶんにまでも刀をむけている、左近将監の気持がのみこめました。