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Japanische Klassiker mit Furigana

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いきふどう

橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇

橘 外男

Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

「わざわざどうも」と私も急いで立ち上ろうとした。「別段お礼をおっしゃるほどのことではありませんよ。通りすがりに差上げといただけなのですから」

と何気なく私も笑いながら立ち上りかけたら、どうぞそのままでというふうに女中らしい人は急いで私を制したように思われた。そして、「では坊っちゃま遅くなりますからお暇いたしましょう……ようくお礼をおっしゃいましな」

と女中の声がして三人は私の方に丁寧に腰を屈めると、また元来た方へサヤサヤと葉を掻き分けて戻って行くのであった。決してそう長い時間ではなかったが、さりとてまたそう慌しい挨拶でもなかった。少しも私に怪訝な気持を起させぬだけに、それは極めて自然に普通一通りに行われたものであった。そして先に立った老爺は確かにまた閼伽桶を下げていたし、女中に手を曳かれた少年は何度も何度も残り惜し気に私の方を振り返り振り返り夕暮れの中へ消えて行ったのを、私のこの眼は確かに見届けていた。しかも私が急いでその場を離れて木立の間から透し見た時には、たった今までそこにいた人たちの姿は見えなくて、お墓の中をどう近道をして行ったのか跫音はこの前私が潜んでいたあの森の前あたりをサクサクと踏んでいるらしい気配であった。