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Japanische Klassiker mit Furigana

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いきふどう

橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇

橘 外男

Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

「お内儀さん! 大丈夫だぞう! 妹さんは助かったぞう! 気をしっかり持ちなせえよう! 大丈夫だからしっかりしなせえよう!」

喧騒の中からは、口々に勢いをつけている声が入り乱れて耳を打ってきた。そして佇んでいた女たちが堪らなくなったのであろう。ワッと泣き出す声や啜り上げる声が、一時にそこここから湧き起ってきた。

そして私が歯の根も合わぬくらいガタガタと胴震いしながら、搬び出される蒲団の後についてまた表へ飛び出した時には、もう廻りにいた人たちが、やっとのことで躍り蒐って蒲団蒸しにして三人の火を揉み消したところと見えた。ジリジリと皮膚の焦げる何とも言えぬ異様な腥さがプウンと鼻を衝いて、人垣と人垣の間や往来に散らばった土嚢のような蒲団の隙間から、ガヤガヤと黒い影が大声に罵り合っていた。

それでもやっと助かったなと人事ならず私も吻としたが、ちょうどその時であった。ギャッ! と悲鳴ともつかず絶叫ともつかぬ異様な叫びが挙がると同時に、提灯の光が慌しく飛び退いて私の眼前に立ちはだかっていた人波が一時に崩れ立った。

その人雪崩に危うく突き倒されそうになって、身を替した途端、崩れ立った人垣の間から私は、見るべからざる物を眺めてしまったのであった。