Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
私は憎悪一杯の嘲るような声を出した。
「ええそうなの」と嫂は素直に受けて「ちょうどこのくらいの」と手で背恰好を示しながら、「病弱そうな方でしたけれど、綺麗な女のような坊っちゃん!……ほんとに公一さんどなたも連れてはいらっしゃらなかったの?」
と嫂は私が何か冗談でもしていると思ったらしく、まだ疑ぐりっぽい眼をして私の顔を眺めていた。
そこへ「帰って来たのか!」とのっそり兄が二階から降りて来たので、嫂もようやく諦めたらしく、
「じゃ、やっぱりわたしの勘違いだったのかしら?」
と解せぬ顔をしながらも勝手元へ立って行ったが、しかし私はもう兄と口をきく気もしなかった。ただ苛ら苛らしくて苛ら苛らしくて、胸がムシャクシャして身の置きどころもないようであった。
こうたび重なってきては、怖いとか気味が悪いとかいう感情よりも、むしろ私には腹立たしさ一杯であった。縁もゆかりもない私に、何の恨みがあって人をこうまでも苦しめるのか、今にもここへ姿が現れたならば、私はその亡霊に思う存分の面罵をして腹一杯呶鳴りつけて打って打って打ち据えてやらなければ気の静まらぬような気持であった。