Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
と私は躊躇しいしい兄の顔を見守っていたが「つまらんことを言い出す奴と思うか知れんけれど……兄さんだれか僕の側に坐っているような気がしませんか? 小さな子供か何かが坐っているような……」
「…………」
呆れたように兄は眼を瞠った。
「兄さん、僕は決して発狂したわけでも何でもありませんよ。……しかしこういう妙な目にばかり逢っていたら、僕もしまいには発狂する! 僕はそれが恐ろしいのです。兄さん、今にあなたがまた変な顔をする……それが僕には厭なのだ! 兄さんだれかいませんか? 僕の側に、だれかこう小さな子供のようなものが坐っているような気がしませんか? 今はいなくても……今にちょっとでもそれが見えたら僕にすぐそう言って下さい。僕は言ってやることがあるんだ! 僕に何の恨みがあってこういう変な目にばかり逢わせるのだか!」
「…………」
私にはその時の呆気にとられたとも当惑したともなんともかとも言いようのない錯雑した表情を泛べたまま、とみには口もきけずに私の顔を眺めていた兄のその時の顔を生涯忘れることができぬ。
兄はてっきり私の気が狂ったか、さもなければ何かよほどの衝動を受けて、一時気持が錯乱したととったのであろう。