Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
僕は知らなかったもんだから怖がってみたり怒ってみたりしてつくづくすまないと思っている。坊っちゃんは僕を堪忍してくれるかい?」
少年のはずかしそうに微笑んだ顔が見えた。
「それなら僕ももう坊っちゃんを怖がったり怒ったりはしないよ。だけれども」とふと私は逗子の亭主や兄たちのことを思い出してきた。「だけれどももう坊っちゃんは世の中に生きているわけではないのだからね。そう僕のところへ来られては僕が困るのだ!」と私は微笑みかけた。「御覧! 坊っちゃんだってわかっているだろう。僕のいた逗子の百姓だってまた今夜の僕の兄の騒ぎだってみんな僕を気が狂ったような扱いをしている。それが僕には一番困るのだ! 坊っちゃんが来たかったらいくら来てももう僕は怒らないよ。気味悪くも思わないし怒りもしないよ。しないが昼来ては困るなあ!」
と私は笑い出した。そして笑った私には少年もいっしょに笑い出したのを感じた。その少年の笑いを見ると、
「みんなが僕を狂人扱いするからね」となおいっそう私は笑い出した。そして私は笑って笑って眼に涙を溜めて笑って近来にない爽やかさを覚えながら、少年がまるで弟のように可愛くて、抱きしめてやりたいような気がしていたのであった。