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Japanische Klassiker mit Furigana

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みちくさ

道草

夏目 漱石

Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme

Aozora Bunko

彼はこの場合まだそれほどの手数を尽す必要がないと信じていた。たとい尽すにしたところで、一種の好奇心を満足するに過ぎないとも考えていた。その上今の彼はこういう好奇心を軽蔑しなければならなかった。彼の時間はそんな事に使用するには余りに高価すぎた。

彼はただ想像の眼で、子供の時分見たその人の家と、その家の周囲とを、心のうちに思い浮べた。

其所には往来の片側に幅の広い大きな堀が一丁も続いていた。水の変らないその堀の中は腐った泥で不快に濁っていた。所々に蒼い色が湧いて厭な臭さえ彼の鼻を襲った。彼はその汚ならしい一廓を――様の御屋敷という名で覚えていた。

堀の向う側には長屋がずっと並んでいた。その長屋には一軒に一つ位の割で四角な暗い窓が開けてあった。石垣とすれすれに建てられたこの長屋がどこまでも続いているので、御屋敷のなかはまるで見えなかった。

この御屋敷と反対の側には小さな平家が疎らに並んでいた。古いのも新らしいのもごちゃごちゃに交っていたその町並は無論不揃であった。老人の歯のように所々が空いていた。その空いている所を少しばかり買って島田は彼の住居を拵えたのである。