Japanische Klassiker mit Furigana
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みちくさ
道草
Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme
しかし頑固な彼の半面にはいたって気の弱い煮え切らない或物が能く働らきたがった。この場合断然連印を拒絶するのは、彼に取って如何にも無情で、冷刻で、心苦しかった。
「私でなくっちゃいけないのでしょうか」
「貴方なら好いというんです」
彼は同じ事を二度訊いて同じ答えを二度受けた。
「どうも変ですね」
世事に疎い彼は、細君の父がどこへ頼んでも、もう判を押してくれるものがないので、しまいに仕方なしに彼の所へ持って来たのだという明白な事情さえ推察し得なかった。彼は親しく交際った事もないその銀行家からそれほど信用されるのがかえって怖くなった。
「どんな目に逢わされるか分りゃしない」
彼の心には未来における自己の安全という懸念が充分に働らいた。同時にただそれだけの利害心でこの問題を片付けてしまうほど彼の性格は単純に出来ていなかった。彼の頭が彼に適当な解決を与えるまで彼は逡巡しなければならなかった。その解決が最後に来た時ですら、彼はそれを細君の父の前に持ち出すのに多大の努力を払った。
「印を捺す事はどうも危険ですからやめたいと思います。しかしその代り私の手で出来るだけの金を調えて上げましょう。