Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
みちくさ
道草
Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme
彼は器械のようにまた義務のように何時もの道を往ったり来たりした。
こうした無事の日が五日続いた後、六日目の朝になって帽子を被らない男は突然また根津権現の坂の蔭から現われて健三を脅やかした。それがこの前とほぼ同じ場所で、時間も殆どこの前と違わなかった。
その時健三は相手の自分に近付くのを意識しつつ、何時もの通り器械のようにまた義務のように歩こうとした。けれども先方の態度は正反対であった。何人をも不安にしなければやまないほどな注意を双眼に集めて彼を凝視した。隙さえあれば彼に近付こうとするその人の心が曇よりした眸のうちにありありと読まれた。出来るだけ容赦なくその傍を通り抜けた健三の胸には変な予覚が起った。
「とてもこれだけでは済むまい」
しかしその日家へ帰った時も、彼はついに帽子を被らない男の事を細君に話さずにしまった。
彼と細君と結婚したのは今から七、八年前で、もうその時分にはこの男との関係がとくの昔に切れていたし、その上結婚地が故郷の東京でなかったので、細君の方ではじかにその人を知るはずがなかった。しかし噂としてだけならあるいは健三自身の口から既に話していたかも知れず、また彼の親類のものから聞いて知っていないとも限らなかった。