Japanische Klassiker mit Furigana
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みちくさ
道草
Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme
高橋というのは誰の事だか健三には一向解らなかった。
「はあ」
「そら知ってるでしょう。あの芝の」
島田の後妻の親類が芝にあって、其所の家は何でも神主か坊主だという事を健三は子供心に聞いて覚えているような気もした。しかしその親類の人には、要さんという彼とおない年位な男に二、三遍会ったぎりで、他のものに顔を合せた記憶はまるでなかった。
「芝というと、たしか御藤さんの妹さんに当る方の御嫁にいらしった所でしたね」
「いえ姉ですよ。妹ではないんです」
「はあ」
「要三だけは死にましたが、あとの姉妹はみんな好い所へ片付いてね、仕合せですよ。そら総領のは、多分知っておいでだろう、――へ行ったんです」
――という名前はなるほど健三に耳新しいものではなかった。しかしそれはもうよほど前に死んだ人であった。
「あとが女と子供ばかりで困るもんだから、何かにつけて、叔父さん叔父さんて重宝がられましてね。それに近頃は宅に手入をするんで監督の必要が出来たものだから、殆ど毎日のように此所の前を通ります」
健三は昔この男につれられて、池の端の本屋で法帖を買ってもらった事をわれ知らず思い出した。