Japanische Klassiker mit Furigana
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みちくさ
道草
Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme
誰が見ても宅へも帰らずに忙がしがっている人の様子とは受取れないほど、調子づいて来た。
彼は其所にある塩煎餅を取ってやたらにぼりぼり噛んだ。そうしてその相間々々には大きな湯呑へ茶を何杯も注ぎ易えて飲んだ。
「相変らず能く食べますね。今でも鰻飯を二つ位遣るんでしょう」
「いや人間も五十になるともう駄目ですね。もとは健ちゃんの見ている前で天ぷら蕎麦を五杯位ぺろりと片付けたもんでしたがね」
比田はその頃から食気の強い男であった。そうして余計食うのを自慢にしていた。それから腹の太いのを賞められたがって、時機さえあれば始終叩いて見せた。
健三は昔しこの人に連れられて寄席などに行った帰りに、能く二人して屋台店の暖簾を潜って、鮨や天麩羅の立食をした当時を思い出した。彼は健三にその寄席で聴いたしかおどりとかいう三味線の手を教えたり、またはさばを読むという隠語などを習い覚えさせたりした。
「どうもやっぱり立食に限るようですね。私もこの年になるまで、段々方々食って歩いて見たが。健ちゃん、一遍軽井沢で蕎麦を食って御覧なさい、騙されたと思って。汽車の停ってるうちに、降りて食うんです、プラットフォームの上へ立ってね。