Japanische Klassiker mit Furigana
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みちくさ
道草
Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme
「そんな書類があったのかしら」
彼は細君から受取った一括りの書付を手に載せたまま、ぼんやり時代の付いた紙の色を眺めた。それから何も意味なしに、裏表を引繰返して見た。書類は厚さにしてほぼ二寸もあったが、風の通らない湿気た所に長い間放り込んであったせいか、虫に食われた一筋の痕が偶然健三の眼を懐古的にした。彼はその不規則な筋を指の先でざらざら撫でて見た。けれども今更鄭寧に絡げたかんじん撚の結び目を解いて、一々中を検ためる気も起らなかった。
「開けて見たって何が出て来るものか」
彼の心はこの一句でよく代表されていた。
「御父さまが後々のためにちゃんと一纏めにして取って御置になったんですって」
「そうか」
健三は自分の父の分別と理解力に対して大した尊敬を払っていなかった。
「おやじの事だからきっと何でもかんでも取って置いたんだろう」
「しかしそれもみんな貴夫に対する御親切からなんでしょう。あんな奴だから己のいなくなった後に、どんな事をいって来ないとも限らない、その時にはこれが役に立つって、わざわざ一纏めにして、御兄さんに御渡になったんだそうですよ」
「そうかね、己は知らない」