Japanische Klassiker mit Furigana
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みちくさ
道草
Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme
細君は自分の眼の位置と書付の位置とを色々に配合して後を読もうと企てた。健三は腕組をして黙って待っていた。細君はやがてくすくす笑い出した。
「何が可笑しいんだ」
「だって」
細君は何にもいわずに、書付を夫の方に向け直した。そうして人さし指の頭で、細かく割註のように朱で書いた所を抑えた。
「ちょっと其所を読んで御覧なさい」
健三は八の字を寄せながら、その一行を六ずかしそうに読み下した。
「取扱い所勤務中遠山藤と申す後家へ通じ合い候が事の起り。――何だ下らない」
「しかし本当なんでしょう」
「本当は本当さ」
「それが貴夫の八ツの時なのね。それから貴夫は御自分の宅へ御帰りになった訳ね」
「しかし籍を返さないんだ」
「あの人が?」
細君はまたその書付を取り上げた。読めない所はそのままにして置いて、読める所だけ眼を通しても、自分のまだ知らない事実が出て来るだろうという興味が、少なからず彼女の好奇心を唆った。
書付のしまいの方には、島田が健三の戸籍を元通りにして置いて実家へ返さないのみならず、いつの間にか戸主に改めた彼の印形を濫用して金を借り散らした例などが挙げてあった。
いよいよ手を切る時に養育料として島田に渡した金の証文も出て来た。