Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.725 Zeichen · 298 Bildschirme
「銭形の、――気の毒だが、兄哥も満更掛り合いがないわけでもあるまい。少し乗出して智恵を貸しちゃ貰えまいか」
兼吉がわざわざ神田までやって来たのは、それから七日も経った後でした。
「俺が出しゃ張っちゃ、兄哥に済まない。こうしよう、たった一つ心当りを言っておくが、兄哥の手で調べて貰えまいか」
平次は遠慮深くこんな事を言います。
「どんな事だい、銭形の兄哥、こうなりゃ、どんな事でもやってみるが」
四十男の兼吉は、この稼業の者に似合わぬ、謙虚な人柄の男だったのです。
「近頃、あの家の者か、出入りの者で、鍵を拵えさせた者はないだろうか、山の手一円の鍛冶屋鋳掛屋を、ごく内緒で調べて貰いたいんだが――」
「そんな事ならわけはない」
兼吉は大喜びで飛出しました。平次の註文は見当も付きませんが、何となく自信あり気で、これがむつかしい事件をほぐす端緒になりそうな気がしたのです。
が、それも全く無駄な努力でした。山の手の鍛冶屋鋳掛屋に、この十日ばかりの間に鍵を頼んだのは三十人もありますが、困ったことに、その中には近江屋の者は言うまでもなく近江屋出入りの者も一人もなかったのです。