Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.725 Zeichen · 298 Bildschirme
「あ、何なと、御自由に」
市蔵は少し皮肉に身を退きました。
「お才、――真っ直ぐに言って貰いたいが」
平次は言いかけて凝っとこの豊満な年増の顔を見やりました。女盛りの脂の乗ったお才、色白で髪の多い具合、媚を含んだ、無恥な目差し、紅い唇――など、いかにも罪の深さを思わせるに充分な女です。
「これより当り前に言いようがないじゃありませんか。近江屋のお嬢さんとは、顔を合せても、挨拶をした事もない仲さ、殺すわけなんかあるものか」
少し疳が亢ぶっている様子でキリキリと美しい眉を釣上げながら、平次の顔を正面から振り仰ぎます。
「そんな話じゃない。――俺は口幅ったいようだが、人を無実の罪に陥すのは大嫌いさ。近江屋の娘を殺したのは、お前でない事はよく解っているよ」
「…………」
お才は素直にうなずきましたが、後ろの方では二合半坂の市蔵が眼を光らせております。
「お前が丁子風呂に居るうちにお新が入って来たのか、それとも、お前とお新は逢わなかったか、それから訊きたいんだよ」
「近江屋のお嬢さんは私が着物を着て出ようとする時入って来ましたよ。あの娘が着物を脱いだ時私は暖簾をくぐっていました」