Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.725 Zeichen · 298 Bildschirme
丁稚の三吉がお冬の足元から拾い上げたのは、四尺あまりの本式の吹矢筒、竹の節を抜いて狂いを止めた上に、磨きをかけたものですが、鉄砲の不自由な時代には、これでも立派な飛び道具で、江戸の初期には武士もたしなんだと言われるくらい、後には子供の玩具や町人の遊び道具になりましたが、この時分はまだまだ、吹矢も相当に幅を利かせた頃です。
余事はさておき――、
引抜いたあとは、つまらない瘡薬か何かを塗って、そのままにしておきましたが、その晩から大熱を発して、枕も上がらぬ騒ぎ、暁方かけて又左衛門の腕は樽のように腫れ上がってしまいました。
麹町から名高い外科を呼んで診て貰うと。
「これは大変だ。しかし破傷風にしてもこんなに早く毒が廻るはずはない――吹矢を拝見」
仔細らしく坊主頭を振ります。
昨夜の吹矢を、後で詮索をする積りで、ほんのしばらく風呂場の棚の上へ置いたのを、誰の仕業か知りませんが、瞬くうちになくなってしまったのです。
「誰だ、吹矢を捨てたのは」
と言ったところで、もう後の祭り、故意か過ちか、とにかく、又左衛門に大怪我をさした当人が、後の祟りを恐れて隠してしまったことだけは確かです。