Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.725 Zeichen · 298 Bildschirme
続けざまに鳴らしましたが、中は静まり返って物の気配もありません。赤々と雨戸に落ちる陽ざしはもう昼近いでしょう。どんな寝坊でも、雨戸を閉めておかれる時刻ではありません。平次はガラッ八に手伝わせて、とうとう雨戸を一枚外してしまいました。
一足中へ踏み込むと、碧血の海。
「あッ」
又五郎とその女房のお半は、どんなにもがき苦しんだことか、血嘔吐の中に、襤褸切れのように醜く歪められ、つくねられ、捻りつけられて死んでいたのです。雨戸を開けた間から、春の光がサッと入って、この陰惨な情景を、何の蔽うところもなくマザマザと描き出しました。
「子供は? 留ちゃんは?」
蹤いて来たお冬は、あまりの怖ろしさに顔を反けながらも、女の本能に還って、顔見知りの子供の名を呼んでおります。
「ここだここだ」
ガラッ八は、部屋の隅から、菜っ葉のようになっている留吉を抱いて来ました。食べた物が少なかったのか、こればかりはまだ寿命を燃やし切らず、身体も動かず声も立てませんが、頼りない眼を開いてまぶしそうに四方を見廻します。
「留ちゃん、留ちゃん、大丈夫かい、しっかりしておくれよ」
この人の好い叔母に抱かれて、それでも留吉は僅かに、こっくりこっくりやっております。